政策研究大学院大学文化政策プログラム  
こちらは、2010年度以前のフィールドトリップです。 
 フィールドトリップ
■ (株)キングレコード
実施日:2011年1月15日
 初代講談社社長野間清治氏により、”目から出版文化”と併せて”耳から音楽文化”への貢献を目指し、キングレコードは昭和5年に創設された。キングレコードというと演歌というイメージが強いが、その音楽レパートリーは、洋楽・邦楽・アニメ・民族音楽・クラシックから最新ヒットまで網羅しており、日本における音楽文化の向上発展に寄与している。今回は、ストラテジックマーケティング本部・制作部・プロデューサーの松下久昭氏にお話を伺った。レコード業界の位置、役割、今後の方向性から、氏が担当しておられるクラシックの制作現場のお話等盛りだくさんの内容であった。1年かけて1000枚売れればよいというクラシック業界の中で、氏は、米良美一、西本智実、のだめカンタービレ・バーチャルCDや最近ではTSUKEMEN等を手がけ、ヒット作を生み出している。またお話の節々に、クラシック音楽への情熱、それに携わる者としての覚悟がうかがえ、レコード会社の存在意義が問われる現在の状況において、業界を牽引していこうという姿勢は目を見張るものがあった。そんな氏の「後にヒットするものは、大抵社内会議では猛反対を受けるものですよ」という言葉は、デジタル化による危機が叫ばれて久しい業界の一翼を担う者としての気概と自信が感じられる、非常に心強いものであったと思う。(文化政策プログラム 佐々木美緒さん)
■ NHK交響楽団
実施日:2010年12月09日
  
 NHK交響楽団(以下N響)は2011年10月5日に85周年を迎える、日本を代表するプロ・オーケストラ団体である。N響の公益事業は大きく演奏活動と普及活動の2つに分けることができ、前者ではN響アワーなどの放送番組と一体となりN響のブランド力も高めており、地方公演のチケットは完売するという。後者としては、「病院コンサート」・「NHKこども音楽クラブ」などNHK厚生事業団とともに社会貢献をしている。2004年度にはドイツのベルリン・フィルを例に我が国初の若手育成のための組織である「N響アカデミー」が発足した。また、運営事務局としても、音楽に精通し、よりよい環境を楽団に提供しようと努力しているとのことである。今後は、2010年度から公益財団法人として認定されたことにより、収支相償を維持していくために更なる経営努力が求められると考えられる。音楽面では、シャルル・デュトワ氏を音楽監督に採用して以来、今まで得意だったドイツ音楽のみならずフランスの要素も加わり、楽団の演奏力をより発展させているとのことである。2011年のアメリカにおける海外公演の実施を含め、我が国を代表するオーケストラとして、世界という舞台でもより一層活躍してもらいたいと感じた。(文化政策プログラム 稲田祐志さん)
■ 国立劇場
実施日:2010年07月08日
 
 日本古来の伝統芸能を上演する国立劇場。楽屋前の廊下を通って舞台に入ると、観客席がずっと向こうに見えました。そしていよいよ舞台下に。奈落は予想をはるかに超える大きさで、大道具を作る作業場も備えられていました。表舞台に立つ俳優さんから舞台脇の簾の向こうで楽器を奏でる演奏家の方、回転舞台を操る方から大道具を作る方まで、多くの方によって伝統芸能が今に伝えられていることを再確認しました。「新しい観客層の開拓や地方公演にも力を入れていきたい」とおっしゃっていた芸能部副部長の田村さんのお言葉が印象的でした。(地域政策プログラム 山ア幸江さん)
■ 東京国立博物館
実施日:2010年07月03日
 東京国立博物館は建物そのものが展示品である。正門から左手に明治末期のネオ・バロック様式の表慶館,中央に昭和初期の重厚な帝冠様式の本館,右手に戦後モダン建築の東洋館が見える。近代日本の歴史の歩みを入館前から感じさせてくれるのである。
 収蔵品も我が国の国宝の16%が存するという,名実ともに我が国最大の博物館である。その貴重な収蔵品にひたすら生命を与え続けている神庭保存修復課長の「保存・修理について,最も大切なことはいかに修理をしないかということである。」という言葉が実に重く響いた。修理をしないために如何に保存を精緻・丁寧に行うか,担当者の血と汗を彷彿させる言葉である。
 1000年の時を経て今なお光を放つ数々の刀剣にも,妖しいまでの彩色を湛える愛染明王像にも我々の心をうち震わせる歴史と美がある。1000年後,2000年後の我々の子孫にもそれ以上の感涙を与えることができることを願って止まない。それには,我々が自国の文化を畏敬し,携わる方々への援助を惜しみなく行わなければならない。(地域政策プログラム 渡邉澄人さん)
■ 企業メセナ協議会
実施日:2010年06月24日
 
 今回のフィールドトリップは、その企業メセナ協議会でお話を伺ってきました。「メセナ」という言葉、実はフィールドトリップの対象になるまで意識したことのないものでした。これは、芸術文化支援(フランス語)のことで、日本では、1990年企業メセナ協議会設立に際し、知られるようになったそうです。私たちが企業の支援という形でよく見聞きするのは「協賛」であり、大規模予算、芸術消費型といった性質を有しています。それに対して、「メセナ」は小規模な予算ながらも芸術の創造・育成に重きを置いています。
 企業は、CSR(企業の社会的責任)に則り、環境、福祉などへの貢献に、プラスして行われているのが実情ですが、メセナはコストをかけなくても、マンパワーや物、場所の提供という形で実施することもできるということです。不況だからといってできないものではなく、小さなことからでも一つ一つ積み上げていくことが大切だということを実感しました。
 また、地方の芸術文化の動向についても、様々にご意見をいただきました。文化施設への指定管理者制度導入により、文化政策に対する方針のないまま経費削減が中心になっていることや、市町村合併により文化施設の統廃合が進み、人材が離散してしまうことなど、地方の文化行政に対する危機感が強く感じられました。 (開発政策プログラム 飯田哲徳さん)
■ 財団法人東京都交響楽団
実施日:2009年10月29日
 東京文化会館にて、楽団についてのお話をチーフ・プロデューサーの守屋新氏に伺った。いまや日本を代表するオーケストラのひとつである東京都交響楽団だが、道のりは決して平坦なものではなかったという。東京オリンピックの記念文化事業として編成された設立の経緯から、その後めざましく移り変わる時代の流れの中で、都立のオーケストラとして、自治体における予算や組織の抱えるさまざまな課題に直面し、時に苦渋の決断を迫られながらも、常に最善を尽くすべく音楽活動に邁進した歴史が紐解かれていった。現在はオーケストラのマネジメントを勤める守屋氏も、かつては第一線で活躍した奏者であった。アーチストとしての視点を織り交ぜながら、オーケストラの発展と文化の振興を願う語り口は、穏やかながらも真に迫るものがあった。設立から40数年、東京都交響楽団は確かな演奏力と、きめの細かいサービスとで、ファンの期待に応え続けている。近年、オーケストラの活動はますます多岐にわたり、高い人気を誇る定期演奏会はもとより、都内小中学校での「音楽教室」をはじめ、「ジョイント・コンサート」、「都響ヤングシート」の実施など、教育普及事業にも力を入れ、若い世代の文化芸術活動にも広く貢献している。今回のレクチャーでは、歴史の重みを感じると共に、都民をはじめ、すべての音楽ファンとの距離を大切にした東京都交響楽団のこころにも改めて触れることが出来た。(文化政策プログラム 小川由美子さん)
■ サントリーホール
実施日:2009年10月22日
 「世界一美しい響き」をコンセプトに1986年、東京初のクラシック音楽専用ホールとして誕生したサントリーホール。客席2,006席の日本初、ヴィンヤード(葡萄畑)形式の大ホールは、音楽に包み込まれるような奏者と聴衆の一体感を実現し、ウィーンの楽友協会やニューヨークのカーネギーホールと並んで世界中から高い評価を得ている。設計段階から参加していた世界的指揮者H・V・カラヤンは、ベルリン・フィルハーモニーホールを思い起こさせるこのホールが日本と世界に及ぼす影響を称え、初代館長、佐治敬三氏に深い謝辞を残している。今回のフィールド・トリップは、日本が世界に誇るサントリーホールについて、シニア・アドバイザーである野川弘道氏の御案内で、過去、現在、未来への思い、そして、バックステージツアーを体験する貴重なものとなった。サントリーは、酒類製造販売、清涼飲料、健康食品から、フィットネスクラブまで身近な生活をサポートする企業であり、創業当初から「利益三分主義」を貫き利益を「顧客へのサービス、事業の拡大、社会への還元」へ充てて文化活動を支援してきた。ホールの活動理念は、質の高い音楽を提供し、もてなしの基本を大事にする。そして「よきホールは、よき音楽を育て、よき音楽家を育て、そしてよき聴衆を育てる」を基本理念に、若手アーティストを育て、子どもたちに音楽を届け、豊かな生活文化を広く提供するための数々のエデュケーション活動を実施する。最後に、このプログラムの1つ「オルガン プロムナードコンサート」を鑑賞し、実際に大ホールでの響きを体感することができた。昼の、ともすれば慌しく過ぎてしまうひと時、幅広い年齢の人々が無料で開放された大ホールを埋め、その響きにゆったりと聴き入っていたのが印象的であった。文化が社会に提供する豊かさの可能性、現代を生き抜く企業が社会貢献をしていく意義を感じたツアーの締めくくりとなった。(地域政策プログラム 藤波香織さん)
■ 劇団四季
実施日:2009年10月8日
 劇団四季は公的支援なしで商業的に成功を収めているという、日本では極めて稀な劇団です。今回は組織、財務状況、企画立案、広報宣伝、顧客管理、人材育成等、劇団の運営に関するさまざまなお話を劇団四季の専務でいらっしゃる田中浩一氏に伺うことができました。特に印象に残ったのは、劇団の基本は「文学」であり、芸術性を追求するという理想と経済行動として成り立つ大衆性を獲得するという実際のマネジメントを両立させている点でした。そのためには、海外で成功したミュージカルのどれを日本に持ち込み、また日本人のメンタリティに合わせてどのように修正を加えるかという企画力とそのための交渉、レパートリーやオリジナル作品を含めた公演スケジュール管理が重要であることがわかりました。俳優、裏方スタッフ、ビジネススタッフのいずれもが高度な技術や才能をもつ芸術集団であるというまさしくプロ意識によって、劇団四季の成功が支えられていることを実感しました。(文化政策プログラム 寺田鮎美さん)
■ 横浜BankART Studio NYK
実施日:2009年6月6日
 BankART1929は、横浜市内の歴史的建造物などを公設民営の手法を用いながらアートスペースとして活用する取り組みである。今回のフィールドトリップでは、日本郵船の倉庫を改修し、2009年から活動拠点となったBankART Studio NYKにおいて、池田修代表から事業や施設についてご説明いただいた。池田氏のお話でまず興味深かったのは、BankARTの非常に多様な展開である。BankART自体が主体となって実施している企画展やスクール、パブ等にはじまり、横浜市の施策等と連携しながら進めているアーティスト支援、歴史的に関連のある他地域(開港五港)との連携した取り組み、さらには海外の姉妹都市への展開というように、時間や対象、範囲が様々な取り組みを実施している。第2に、それらの展開の広がり(池田氏の言葉では「リレーする」)をBankARTが冷静に把握し、新たな展開(BankARTからの発信)を考え、実践していることである。これらのことは、単に公設民営だからと言い切ってしまうのではなく、「公」の支援を巧みに活用し、自らの理念に基づき的確な行動ができる「民」がいるからこそであり、仕組みだけでは為し得ない活動をBankARTが行っていると強く感じた。今後もBankARTに注目していきたい。(開発政策プログラム 山本 陽さん)
■ 愛知芸術文化センター
実施日:2009年1月9日
 愛知芸術文化センターは日本初の3面舞台構造を備える馬蹄型52500席の大ホールを中心とし、コンサートホール・小ホールとそれぞれの用途を持つ本格的シアターコンプレックスのはしりである愛知県芸術劇場、愛知県美術館及び愛知県文化情報センターからなる複合文化施設として、92年に開館。名古屋市の中心繁華街に位置し、地下鉄栄駅から直結。コンセプトは「現代芸術の推進」であり、その推進の中心としての学芸員制度は芸術監督制度とは異なるモデルとして、公立文化施設の可能性を提示するものであろう。当日は舞踊専門の唐津主任学芸員からお話を伺うことができた。その活動の軌跡は「国際的水準の作品創造」としてダンスを中心とした複合舞台芸術としての〈ダンスオペラ〉の試み、「地域の文化振興・育成」としての〈あいちダンス・フェスティバル〉に見ることができる。また、愛知県は来年あいちトリエンナーレ2010を企画しており、その中核的な拠点としての役割を同センターが担う予定である。「地域の特性を活かした独自の芸術創造と発信」に重点を置いた同センターの今後の展開に期待したい。(文化政策プログラム 内村太一さん)
■ 静岡県芸術劇場・静岡県舞台芸術公園
実施日:2009年1月8日
 船をイメージしたグランシップの先端部分として同一施設内に所在する静岡芸術劇場、そしてそこから車で10分程の日本平北麓に位置し、自然豊かな20haもの敷地を持つ静岡県舞台芸術公園、両者を専用の劇場として活動する文化事業集団が()静岡県舞台芸術センター(以下SPAC)である。「本当の〈公立劇場〉をつくるのなら」という条件で引き受けた同県出身の初代芸術総監督鈴木忠志氏のコンセプトは人事権と予算執行権を併せ持つ芸術総監督制、舞台技術家から俳優までを含めた芸術家集団としての芸術局制度、そして専門の施設設置という日本では他に例を見ないものである。同氏を迎え舞台芸術公園開所の97年から本格始動、99年に静岡芸術劇場がオープン、現在も世界的に展開するSPACの創造活動は枚挙に暇がない。07年よりその後を引き継ぐ二代目芸術総監督宮城聰氏から「地域の文化的アイデンティティーの発信」と「教育機関としての劇場」の機能についてのお話を伺うことができた。特に顕在化していない文化享受へのdemandに対して演劇という体験により劇場が担うべき教育機関としての機能については大変刺激的であった。ヨーロッパにおける公立劇場間のネットワークのアジア版を構築したいと熱く語る宮城氏の視線の先にある今後の活動は静岡から世界を見据えた注目すべきものとなろう。また県内中学校対象とした「こどもたちの文化芸術鑑賞推進事業」でもある公演準備中の「走れメロス」の稽古を見学させてもらい、上質の環境で本物の舞台に触れることができる県内の中高生は本当に恵まれていると思った。本物の劇場で本物の舞台に触れることを意図し、SPACでは同劇場での公演に学校単位で無料招待する事業を今後さらに増やしていくなど積極的に人材育成事業を展開している。(文化政策プログラム 内村太一さん)
■ 静岡県コンベンションアーツセンター「グランシップ」
実施日:2009年1月8日
 グランシップは静岡駅から一駅隣のJR東静岡駅すぐに位置する、磯崎新氏の設計による、大・中ホール、国際会議対応の会議ホール及び展示ギャラリー等からなる複合文化施設として99年に開館。特に高さ58メートル、最大収容約4,600名及び1,720uのアリーナ面積を誇る大ホール・海は圧巻であり、その荘厳さは〈大聖堂〉のイメージに通じる。平成203月に策定された静岡県文化振興基本計画で静岡県は施策展開の方向として、「みる」・「つくる」・「ささえる」に表現される、本物の文化に触れることによる人材育成、文化のしずおかブランドの創造及び文化支援の仕組みづくりの3つを掲げているが、そのうちグランシップが積極的に推進するのは、鑑賞機会の提供、教育普及活動及びアウトリーチによる人材育成についてである。グランシップでの鑑賞機会の提供のみならず、アウトリーチ活動を展開、今年度はクラシックにとどまらず出前公演として講談教室も実施するなど「グランシップを飛び出した、グランシップ」として精力的に活動。今年10月には大ホールでの第24回国民文化祭のオープニングも控え、3月で10年目を迎えるグランシップ、「上質を、身近に」をキーワードに掲げる田村孝子館長を中心とする今後の運営に注目していきたい。(文化政策プログラム 内村太一さん) 
■ 静岡音楽館AOI
実施日:2009年1月7日
 静岡音楽館AOIJR静岡駅から徒歩3分、立地条件に恵まれたシューボックスタイプの室内楽専用のホール(618席)。静岡中央郵便局の移転に伴い、全国でも珍しい郵政省(当時)と市の文化施設の「合築」により、95年郵便局の階上7〜10階に静岡音楽館AOIとして開館、パイプオルガンを装備したホールは、国内屈指の音響効果として海外のアーティストからも高い評価を得ているという。従来のコンサートシリーズで静岡におけるクラシック普及を課題とする一方、「静岡の名手」というプログラムではオーディション形式による人材育成を展開、その後合格者はコンサートやアウトリーチに起用される。専属の学芸員の存在が可能にする「ヒューマンコミュニケーション」による合格者へのフォローアップは都市スケールで実施する人材育成のモデルとして期待するものである。また、毎年一作以上の委嘱作品を制作するなど、「創造的なホール」としての側面もあり、「バランス」を重視した活動を展開している。野平一郎氏を二代目の芸術監督に迎え今年で5年目、「音楽の次世代への継承」、「創造活動の継承」、「静岡の音楽家の開拓」・「静岡独自の」「芸術の発信」という理念はその活動を通して、着実に静岡の地に根付きつつあるようである。(文化政策プログラム 内村太一さん) 
■ たざわ湖芸術村わらび劇場
実施日:2008年12月28日
 秋田県仙北市に拠点を構える「劇団わらび座」は、民俗伝統をベースに多彩な表現で現代の心を描く劇団です。現在、グループで年間約1,200回の公演を全国で行っており、海外公演もアメリカ、ヨーロッパ、アジア、ブラジルなど16ヵ国で行っています。
 わらび座の拠点施設である「わらび劇場」の特徴は、宿泊施設も含む「温泉ゆぽぽ」、レストラン「田沢湖ビール」、情報研究施設である「デジタルアートファクトリー」並びに教育的施設である「森林工芸館」及び「化石館」といった施設とともに「たざわこ芸術村」を形成し、一大リゾート施設の中核施設として、周辺施設と連携した取組を行っていることです。民俗伝統文化を重視した作品への取組姿勢と地元施設との連携が、地域密着型の芸術活動の新たなモデルケースとして、地域活性化の試金石となるのではないかと、団員の方々の溌剌とした表情と来場者の楽しそうな笑顔を見て痛感した次第です。(地域政策プログラム 多留幸子さん)
■ Theatre National de la Colline 他
実施日:2008年11月
 パリ市20区にあるTheatre National de la Colline、パンタン市にあるCentre National de la Dance、パリ市19区にあるCite de la Musiqueに視察及びインタビューに行きました。Theatre National de la Collineは現代作品を中心に上演している劇場。地域への普及活動にも力を入れており、低廉な価格で地元のリピーター客も多い、地域密着型の劇場です。Centre National de la Danseはプロのダンサーのための教育施設。アマチュアではなくプロ向けの訓練施設というところに特色があり、講師であるダンサーを自分で指定できる、就職の斡旋もするなどきめ細かいフォローが行われており、フランスにおけるダンス分野の層の厚さを感じました。Cite de la MusiqueはParc de la Villetteの一角にあり、Conservatoire de Parisにも隣接するコンサートホール施設。訪れた日はちょうど表彰式とコンサートが催されており、雨の日だったのにも関わらず地域の小学生の子らが施設見学にたくさん来ていました。
 またパリを訪れたのは11月中旬と、秋も深まり訪れるのに非常によい季節でした。(文化政策プログラム 川口夏織さん)
■ LOUVRE-DNP MUSEUM LAB.
実施日:2008年8月26日

LOUVRE-DNP MUSEUM LAB(品川区五反田)は、ルーヴル美術館の新たな作品展示方法の創造を目指す試みと大日本印刷のソリューション技術の融合、あるいは、大日本印刷の企業メセナ活動と企業ショールームの融合として捉えることができる。より具体的に表現するならば、現在行われている企画展「都市スーサとその陶器〜イスラム時代の創世期」のパンフレットにある、「あなただけの発見がある。」や「それは、まったく新しい美術体験」という言葉にその目指すところが凝縮されている。今回の企画展を開催するにあたって、ルーヴル美術館が提示した課題は、「マルチメディアを感じさせない印刷と映像の融合」である。この課題に答えた展示方法を言葉で表現するのは難しいが、実物の作品(復元された皿)をカメラでフォーカスすると、フォーカスしたアングルでその皿が発掘された姿(断片状態)がカメラのディスプレーに映し出され、その映像を写真として持ち帰ることができるようになっている。リアルの展示品と接しながら、マルチメディアの技法によって、自分が見たい視点でリアルの展示品では見ることができない姿を鑑賞することができる興味深い試みである。
 
美術施設の課題の一つは鑑賞者の裾野を広げることであるが、LOUVRE-DNP MUSEUM LABの試みは、この課題に対する挑戦でもある。実験段階であるが、リアルの展示案内にPDA(Personal Digital Assistant)に付属したカメラを向けると、アニメーションのキャラクターがPDAのディスプレー上で展示案内を始める仕組みも試みられていた。子供向けの鑑賞案内をマルチメディア化して実際の鑑賞の導線と連動される試みであるが、美術館に対する子供の関心を高めることで、将来的な鑑賞者の裾野を広げることに繋がる有意義な試みである。
 以上のように、LOUVRE-DNP MUSEUM LABは多様な可能性を持った活動である。その企画は半年サイクルでリニューアルされるが、どのような挑戦がこれから展開されていくか、今後も注目していきたい。(地域政策プログラム 村川令一郎さん

■ 徳島県阿波十郎兵衛屋敷
実施日:2008年7月24〜26日
阿波人形浄瑠璃は阿波踊りと並んで徳島を代表する芸能です。今回のフィールドトリップでは阿波人形浄瑠璃に関わる様々な組織の方にお話を伺い、関連する施設を見学することができました。徳島県立阿波十郎兵衛屋敷は主に徳島を訪れる観光客に人形浄瑠璃を見せるための施設です。歴史的な建造物や庭園が配置された施設内はとても趣があり、舞台では人形の動きや義太夫節の息づかいを間近に感じることもできます。管理運営の担当者からは、阿波人形浄瑠璃の伝承、振興、観光への活用等、様々な視点からのお話を伺うことができました。
 徳島県教育委員会文化財課では、阿波人形浄瑠璃の保護伝承における課題や取り組みについて伺いました。困難を抱えながらも、伝承者の方々がいかに代々受け継がれてきたものを次代に引き継いでいくのか試行錯誤している様子がお話から伝わってきました。
 また、(財)徳島県観光協会では、徳島の自然や文化等の多様な資源とともに人間浄瑠璃を観光へ活かしていくための取り組みについて、担当者から熱意のこもったお話を伺うことができました。観光協会では徳島県内に数多く残る農村舞台を観光へ活かしていくために阿波農村舞台・阿波人形浄瑠璃ボランティアガイドを養成し、観光客に無料でガイドを行っているとのことでした。今回のフィールドトリップではそうした農村舞台のうち、犬飼、拝宮、坂州の3つの農村舞台も見ることができました。いずれも豊かな自然に囲まれた神社の境内に建っており、現在でも人形浄瑠璃の公演をすることがあるそうです。
 伝統を守るだけでなく、いかに地域を活性化するために活かしていくのか。また逆に、活かしていくことで伝統を守っていく。今回のフィールドトリップ全体を通して、そのような視点の重要性を知ることができました。また、連綿と受け継がれてきた阿波人形浄瑠璃の伝統が現在の生き生きと地域に根付いていることを感じることができ、貴重な体験となりました。(文化政策プログラム 岡村智治さん)
■ 埼玉県川越市
実施日:2008年7月26日
講師:川越市建設部建設課 荒牧澄多 氏
川越夏祭りの初日に、蔵造りの商店や「時の鐘」、関東大震災前の大正・昭和初期の洋風町家や銀行などの洋館が残るまちなみで知られる川越市の伝統的建造物群保存地区の現地視察を行いました。当日は講師の方から、中心市街地の衰退を受け昭和40年代後半から商店主・住民らによる蔵造りの商家の保存運動に始まり、市民団体の「川越蔵の会」の発足等、今日の市民・行政の連携関係の礎が築かれるまでのお話を伺いました。また、歴史的風致の維持に係る伝統的建造物の修理・修景・防災事業や、地区内の連続性のあるまちなみ形成を誘導するための条例・まちづくりガイドラインの整備、TMO・まちづくり会社による商業空間の活性化事業等についてもご説明を頂きました。お話を通じて、商業・生活空間として蔵造りのまちなみを捉えようとする市民意識や、市民の主体性を尊重したまちづくりへの取り組み姿勢が強く印象に残りました。同時に、まちにはそれぞれ歴史的・文化的な個性があり、それらの背景に応じたまちづくりにおける市民・行政の連携のあり方にも多様な解が存在しうることを改めて考えさせられた見学会でした。(まちづくりプログラム 菊地裕美子さん)
■ 島根県松江市
実施日:2008年7月18日
講師:松江市都市計画部都市景観課課長 石倉正明 氏
    松江市都市計画部都市景観課主幹 金森達央 氏
松江市は、堀尾由晴による松江城(国指定史跡、国指定重要文化財(天守閣))の築城以来、山陰地方の中核都市として発展し、松江城の周辺に位置する塩見縄手地区の武家屋敷や小泉八雲旧居(国指定史跡)といった歴史的景観と宍道湖の自然景観とを併せ持つ都市です。こうした特徴から、景観政策に係る市民および行政の意識は高く、昭和48年には松江市伝統美観保存条例が施行され、市内に「美観地区」を指定し景観保存を進めてきており、景観法の施行以降は、塩見縄手地区を「景観地区」として定め、厳しい規制による実効性の高い景観保存と修景への取り組みを進めています。市の担当の方からは、市の景観政策におけるこれまでの取り組みと現状について詳細な説明を頂き、現在の景観政策が積極的な市民参加に基づく行政との協働によって進められているものであるとの印象を強く受けました。景観政策は規制が伴うものであり、行政が取り組みを進めていく上では、景観政策の必要性について市民の意識の向上をどう図っていくか、規制に対しどのような支援が適当であるかを考えていくことが必要であると認識しました。(文化政策プログラム 木南秀隆さん)
■ 島根県大田市
実施日:2008年7月17日
中世からの銀山の全容が良好に残る稀少な産業遺産である石見銀山と鉱山町の姿を今に残す大森銀山伝統的建造物群保存地区を含む地域一帯は、鉱山運営が独特の土地利用を生み、現在の人々の生活や生業のあり方に与えている影響と相俟って、「石見銀山とその文化的景観」として平成19年に世界文化遺産となりました。石見銀山では、実際に利用されていた間歩を見学し、そのスケールの大きさに圧倒されました。また、大森銀山重要伝統的建造物群保存地区については、国の選定から約20年が経過し、その間の適切な地区の保存、修景により、ともすれば保存により箱庭的になりがちである歴史的町並みが、現在でも住民の生活感が感じられるまちとして存在しているとの印象を受けました。(文化政策プログラム 木南秀隆さん)
■ 鳥取県倉吉市
実施日:2008年7月16日
講師:倉吉市建設部景観まちづくり課主任技師  里田晴穂 氏
倉吉市は、商家の店舗併用住宅と土蔵等建造物群による打吹玉川伝統的建造物群保存地区を有した歴史的町並みの残る都市です。従来、鳥取県の条例に基づき景観保全を進めてきましたが、景観法の施行後、平成19年10月に倉吉市景観条例を施行し、独自の景観政策への本格的な取り組みをスタートさせています。市の担当の方からは、景観政策への取り組みのひとつとして、打吹玉川伝統的建造物群保存地区とその周辺地区を対象に進められている街なみ環境整備事業についてご説明頂きました。規制に頼るのではなく、国や市からの助成を利用し、住民の居住環境の向上に繋がる景観政策のあり方を考える上での事例として大変興味深いものでした。(文化政策プログラム 木南秀隆さん)
■ BankArt1929
実施日:2008年7月5日
講師:BankArt1929代表  池田修 氏

「どうすれば、まちはもっと活性化できるか?」地方分権が進み各地の財政状況が厳しくなるにつれ、この問いは全国のまちづくりに関わるアクターにとって喫緊の課題である。横浜BankArt1929は、そんな問いに対するヒントを大いに与えてくれる。事業では、主に市民や国内外のアーティスト、専門家から提案のあった芸術プロジェクトを幅広く受け入れ、その支援を中心に行っている。池田氏は、BankArtの取り組みを「芸術のための芸術ではなく、まちづくりのためのツールとしての文化芸術」として位置づけている。この事業が成功しているのは、横浜市の公設民営化への組織的バックアップ体制もさることながら、BankArtの創造的な発想による空間の有効な活用が効果を発揮し、官民の両者が理想的な形でリンクされている。そこには、「横浜市だからできること…横浜市のポテンシャルが高いからできたこと…」では済まされない新しいまちづくりの教訓があるように感じた。池田氏は、BankArtの取り組みは、常に「きちんとしたゲリラ」でありたいと言う。こうした情熱を持ったヒトとこうしたヒトをうまく活用できる組織と金が持続的に回るところで、はじめてまちづくりは本当の意味で市民を繋ぎ活性化できるのだろう。(まちづくりプログラム 小倉朋子さん)

■ 上野寛永寺
実施日:2007年12月14日
講師:寛永寺・浦井正明 氏
徳川将軍家の菩提寺として江戸時代から続く寛永寺にて、浦井正明執事長にお話を伺いました。寛永寺や上野公園の歴史に始まり、現在寛永寺が行っている東京国立博物館との連携事業や地域の活動まで、お話は多岐にわたりましたが、歴史的エピソードを交えた浦井執事長のお話は大変興味深く、楽しいものでした。そして地域の歴史を深く知ることは、文化政策を考える上でも不可欠であると感じました。印象的だったのは、寛永寺が地域コミュニティとの付き合いを非常に大切にされていることでした。古くからある寛永寺が周辺コミュニティと連携を構築しながら、現代社会の中で新たな試みを行いつつ生き生きと機能し、活動している様子は大変新鮮でした。(文化政策プログラム 岡村智治さん)
■ 企業メセナ協議会
実施日:2007年7月19日
講師:企業メセナ協議会 戸沢愛 氏

企業メセナの実例を聞かせていただいて、今後のPPPPublic Private Partnership)の在り方で感銘を受けたことを二つほど。一つは、財団法人東日本鉄道文化財団「地方文化支援事業」の事例より、「どうやって地域でサステイナブルな仕組みを創るか」ということ。持続のキーワードは「商業ベースでのPPP」ではないか。官民双方にメリットが生まれる地域振興の仕組みをいかにつくるか。JR東日本の事例は、民間が地域の伝統的な祭り等の地域資源を掘り起こすことで、当該地域に人を呼込む魅力を創出し、それが旅客増加という企業メリットをもたらす。どんなに良い資源であっても、地元ではその価値に気づいていないことが多い。企業センスにより、地域が地域資源を再認識し、それを活かして地域が活気づくメリットは行政にとっても大きい。このようなサステイナブルな仕組みを作るコツは、「民間が中心となり企画し、行政は後方支援に徹する」というPPPではないだろうか。もう一つは、姫路信用金庫「子供の詩有本芳水賞」の事例より、「自治体職員は地域企業メセナを積極的に手伝うべき」ということ。姫路信用金庫のメセナは地元小学生の詩を表彰する取組みである。同庫の女性職員が中心となって5,000もの作品を取り纏めている。それが、部署間の横のネットワークを構築し、社員の活性度をあげているということであった。自治体職員も地域企業メセナを手伝うことで、メセナの精神に触れる、そして、地域活性のために大切なことは、いかに民主導官支援という仕組みを構築するかであることを体感する。例えば、自治体新規採用職員研修で地域企業メセナを手伝うカリキュラムを取り入れる等が効果的と考える。これも新たなPPPの在り方の一つではないだろうか。(地域政策プログラム 芝田伸一さん)

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■ 東京国立博物館
実施日:2007年7月18日
講師:東京国立博物館 事業部教育普及課 課長 加島勝 氏
湯島の聖堂から始まったという、長い歴史を持つ博物館のバックヤードを見学。巨大な荷物搬入エレベーターを使用し、まるでディズニーランドの地下かというような地下通路で各館が繋がっている様子や、企画展の展示スペースをつくる作業風景などを大変興味深く見学させていただきました。また、加島教育普及課長より、独立行政法人化を受け、財政状況の厳しい中ナショナルセンターとしての役割を果たすべく努力をされているというお話や、学芸員として「大好きなことを仕事にすることの大切さ」を感じているというお話に、東京国立博物館に勤めるという仕事に対しての誇りが伝わり感動しました。(地域政策プログラム 木下憲子さん)
■ 川越鏡山酒造および重要伝統的建造物群保存地区視察
実施日:2007年5月26日 首都大学東京鳥海基樹准教授の研究室と合同
講師:川越市役所・産業観光部・中心市街地活性化室主査・山口健一氏、
川越市役所・都市景観課係長・野本周夫氏
「小江戸」として有名な川越にて、鏡山酒造跡地を見学しました。鏡山酒造は1875年に創業し2000年に廃業した造り酒屋で、現在その跡地に明治、大正、昭和期に建てられた酒蔵が残っています。酒蔵内部は立派な柱や趣のある梁があり、とても味のある空間でした。川越市の担当の方の話では、今後2年をかけて建物を改修し、飲食・物販施設、多目的スペースとして活用していく計画だそうです。こうした歴史のある建物を単に過去の遺物として保存するのみならず、街に新たな賑わいを創り出す装置として再生していくという話は大変興味深いものでした。2年後に鏡山酒造が実際にどのように甦るのかが楽しみです。(文化政策プログラム 岡村智治さん)
■ 森美術館
実施日:2007年2月20日
六本木ヒルズ森タワー53階にある森美術館を見学しました。「笑い」をテーマにした企画展で、古今東西の笑いを誘うような絵・写真・オブジェが並んでおり、しばしの間、俗世の嫌なことを忘れることができました。その後はシニア・キュレーターの片岡氏より美術館の運営についてレクチャーを受けました。民間美術館ならではの厳格なコスト意識とマネジメント手法など、公的部門にも取り入れられるようなお話を伺うことができ、大変意義深い見学会となりました。(地域政策プログラム 三枝徹さん)
■ 国立新美術館
実施日:2006年11月29日
「多くのアーティストに発表の場を提供したい」そのようなコンセプトを持つ、コレクションを持たない美術館。ゴッホやピカソなど巨匠のコレクションをどれだけ持っているかで美術館の「偉さ」が決まるのかと思っていた素人の私には意外でした。施設は機能的で、人がくつろげる空間が広く用意されているのがありがたいなと思いました。建設・運営費も相当なものと想像しますが、費用対効果が叫ばれているなか、貨幣価値換算しきれない異次元の価値を創造してくれると期待しています。一緒に見学した芸大の学生らの活き活きとした笑顔が印象的で、文化芸術の分野に将来の明るい希望を見た気がします。(開発政策プログラム 石田高啓さん)
■ 世田谷パブリックシアター
実施日:2006年11月16日
講師:世田谷パブリックシアター ゼネラルマネージャー 高萩 宏氏
世田谷パブリックシアター制作課長の高萩宏氏より、指定管理者制度下における公共ホールの運営のあり方や演劇制作の実際についてご教示いただきました。開場から約10年を経て国内外からも評価の高いホールとして、人事・予算・執行体制など多くの面において公共ホールのリーディングケースとなりうる事例を学ぶことができました。内部留保を可能とする予算措置、財団プロパー職員を常勤とする執行体制などは、ホールスタッフが高いモチベーションを維持できる執行体制がホールの芸術性を高め、シティセールスに貢献することで公共性をも確保している好例と思います。また、当ホールにおける企業メセナの積極的な活用も、おしなべて厳しい財政状況にある公共ホールが導入すべき課題であると感じました。ホール見学では主劇場・小劇場から稽古場・作業場までご案内いただき、芸術を制作する現場に触れることができました。(文化政策プログラム 井汲真佐子さん)
 
■ 国立劇場
実施日:2006年7月13日
講師:国立劇場 芸能部第一製作課 課長 大和田 文雄氏
今年も国立劇場の舞台裏を見学させていただきました。大和田課長より,劇場について説明を伺った後,楽屋や大舞台,奈落や花道など,劇場舞台裏を見学。大舞台は思った以上に奥行きが広く圧倒されました。「すっぽん」や「せり」など,様々な仕掛けを担う舞台下はほとんど工場。かつては人力でこれらを動かしていたかと思うと驚きです。(地域政策プログラム 中島 嘉彦さん)
 
■ 東京国立博物館
実施日:2006年7月4日
講師:東京国立博物館 事業部教育普及課 課長 井上 洋一氏
井上教育普及課長から,独立行政法人化後の東京国立博物館の現状と課題についてお話を伺いました.特に,独法化によるメリットおよびデメリットの両面について,現場で実務に携わっておられる方の生の声を聞くことができ,とてもよい経験になりました.自己収入の増加が求められる厳しい予算の現実や管理者が変わったことによる作品貸借の際の信頼性の確保の問題は,とても深刻であると感じました.レクチャー後は,バックヤードを見学させていただき,一時保管庫や収蔵庫の仕組み等について説明を受けました.作品を運ぶためのエレベータに乗せていただくなど,普段私たちが訪れることのできる表の部分だけではわからない,博物館の裏側を知ることができました.(文化政策プログラム 寺田鮎美さん)
 
■ 国立劇場
実施日:2005年6月16日
講師:国立劇場芸能部第一製作課課長 大和田氏
普段は公開されていない国立劇場の舞台裏。倉庫兼作業場には、これまで作られた舞台背景(山や巨大な刀など・・・)がどーんと重ねて立てかけられており圧倒されました。もちろん作業場なので、職人さんたちが、これから舞台で使われる背景を作製している場も垣間見ることができました。奈落の底も余さず見せていただきましたが、裏ばかりでなく、実際の表舞台、花道も歩かせていただきました。見学後の歌舞伎公演・振興政策に関する実際のお話もためになり、見学者全員、無性に歌舞伎が見たくなる、というフィールドトリップでした。
(文化政策プログラム 黒田真奈未さん)
 
■ 芸能花伝舎
実施日:2005年7月12日
講師:社団法人日本芸能実演家協議会部長 大和 滋氏
旧新宿区立淀橋第三小学校を舞台芸術のプロの稽古場として活用している団体。はじめは勉強不足のためどのような団体なのかよくわからなかったけれど、校舎を見て歩くまえに、舞台芸術の実演家を取り巻く年金問題・稽古場不足などの厳しい現状を教えていただき、この支援団体が何を目的としているのかよく理解することができました。そのうえで、校舎を見て回ると、音楽家むけに防音をしたり舞踊家用に床材が異なる教室があったり、プロが練習するための稽古場を提供するのだ、という思いがひしひしと伝わってきました。かえって、「プロでさえ練習場所に困る」という現状が、はっきりと見える気がしました。(文化政策プログラム 黒田真奈未さん)
■ 川越市川越伝統的建造物群保存地区フィールドワーク
実施日:2005年5月23日
講 師:川越市 まちづくり部 まちづくり計画課 都市景観係長 荒牧澄多氏
「小江戸」川越のフィ―ルドトリップは、本当に「楽しい」ものでした。今我々が散策を「楽しむ」ことができる江戸明治期に建設された蔵造りの町並は、保存に尽力した住民の方々と行政の協力の賜物です。川越市役所の荒牧氏から歴史、保存活動、まちづくりの戦略を伺えたことで、保存の重要性と政策実施の難しさについて改めて考えることができました。文化遺産が地域のアイデンティティーであるとともに、地域発展の核になりうるものであり、何よりも我々に「楽しさ」をもたらしてくれる宝であると実感しました。
(文化政策プログラム 歌川あゆみさん)
 
■ 社団法人企業メセナ協議会
実施日:2005年10月28日(金)
講師:社団法人企業メセナ協議会事務局 事務局長 角山氏
事務局長角山紘一さんと担当職員から、『「企業メセナ」についてー日本における芸術文化支援の変遷と現状』という題で、レクチャーを受けました。企業メセナとは何かという基本的な部分から、企業メセナ協議会設立の経緯と事業、多くの資料を用いた最新の企業メセナ活動状況、さらにメセナ制度15年間の概観など、内容的にも極めて興味深いものでした。地域のメセナ活動に関するものも多く、 地域政策を考える上でも参考となりました。
(地域政策プログラム 稲田正徳さん)
 
■ 横浜国際フェスタ2005
実施日:2005年10月30日(日)
講師:独立行政法人国際交流基金企画評価部企画評価課課長 小林 忠氏
国際都市ヨコハマならではのイベントで、会場内にはNPO団体やボランティアのみなさんによる世界中の文化を紹介するコーナーがたくさんあり、各国の魅力を知ることができました。国際交流基金の小林課長からは、国際文化交流の政策や課題を伺い、これからの未来のために重要な取組みであることを実感しました。会場を移し、タイ、香港、日本のスタッフが手を組んで製作した映画「地球で最後のふたり」を鑑賞しました。主演の浅野忠信さんは国際交流基金のバンコク駐在員という役柄で、モデルとなった元駐在員の方からは映画製作のきっかけや、アジアのポップカルチャーを日本へ紹介する取組みなどの興味深い話を聞くことができ、自分にもできる国際文化交流がないかと、妙にワクワクしながら思いに耽ってみました。
(知財プログラム 福本哲也さん)
 
■ 森美術館
実施日:2005年11月11日(金)
講師:学芸部パブリックプログラム アシスタント・キュレーター 荻田氏
文化資源論の講義の一環として、六本木ヒルズ内にある森美術館を訪ねました。お相手をして下さったのは学芸部パブリックプログラムのアシスタント・キュレーター荻田さん、森美術館の目標、組織、観客動員状況や、教育普及活動などについてお伺いしました。六本木ヒルズという巨大な集客施設の中にあって、開館後二年間で350万人の集客がある一方、地元港区の小学校を巡回したり、個別対象グループごとにカスタマイズされた展示開設プログラムやツアープログ ラムを開くことにより、現代美術の美術館としてヒューマンスケールの教育普及活動に地道に取り組まれていることに新鮮な驚きを覚えました。また、単なるボランティアやインターンではない有給のサポートスタッフの活用は、今後の行政課題であります「住民と行政との協働」を考える上でも大いに示唆的でした。ご説明の後は、現在館内で開催中の「杉本博」展を鑑賞しました。しばし都会の喧騒を忘れさせてくれる館内の空気に、すっかり魅せられてしまいました。
(地域政策プログラム 瀬尾泰大さん)
 
■ 鎌倉市役所
実施日:12月17日(土)
講師:鎌倉市世界遺産推進担当課長補佐 玉林義男氏
800年もの古い日本の伝統や文化を保護している鎌倉市は指定文化遺産として登録されている60地域を持っています。本フィールドとリップでは,人間と歴史的な遺産そして自然が,今までどのように共存し,保存されてきたかを実体験を通じた貴重な話を伺いました。非常に意味深い話から,我々が毎日楽しめる古い鎌倉の町並みの風景を今まで守ってこれたのは,何より市民の力だと実感しました。このフィールドトリップを通じ,そのような市民の努力を支援する方法を考えることが,何より重要で大切なことであると学ぶことができました。
(文化政策プログラム シルバナ・ペトコヴィッチさん)