研究目的

 本領域研究は、中国やインド、ブラジルなどに代表される「新興国」を対象に、この新興国がいかなる国家建設戦略、経済発展戦略をとって台頭してきたのか、新興国の台頭により国際秩序はどのように変容するのか、新興国がこのグローバル化の時代に抱える政治・経済的な課題はいかなるものか、そうした課題対処に求められる国家体制の在り方や経済運営の能力とはどのようなものかを、国際比較、歴史比較、ミクロ実証分析を通じて体系的に明らかにすることを目的とする。新興国は世界秩序に多大な影響を及ぼしているにもかかわらず、これを体系的にとらえようとする研究は行われていない。たしかに新興国の経済、政治、歴史、社会等に関する研究にはそれぞれの専門ごとに豊かな蓄積があるが、新興国の多様性を踏まえつつ、政治と経済の相互作用を解明するには、これまでのような専門的研究を発展させるだけでは不十分である。そこで本領域ではミクロ実証研究、マクロ比較史研究、政治経済研究の三つの研究項目に五つの計画研究を配置し、専門横断的な議論や知見の交流を活発化させ、経済、歴史(とくに国家形成史、経済史)、政治を包括する視点から体系的に新興国の政治経済を理解する新しい枠組みを提示し、政策研究の水準向上を図る。新興国に着目し、専門の間の緊張感のある「対話と会話」によって広い視野と新しい問いを生み出し、革新的な研究を創造しようという本領域の着想は、主に政策研究大学院大学のグローバルCOE プログラム「東アジアの開発戦略と国家建設の適用可能性」を実施する中で得たものである。本領域の研究成果は、学術書や学術論文として公表するだけではなく、社会・国民に向けて積極的に発信する。