代表者挨拶

    これまで私はアジア・アフリカの途上国を歩き回り、自ら集めたデータを計量経済学の手法を使って分析し、産業発展のプロセスを解明しようしてきました。この何年かは、日本的経営として知られるカイゼンのトレーニングをアフリカの経営者に提供して、企業が発展することを確かめる実験をやっておりました。そうこうするうちに、アフリカの数か国の政府が本格的にカイゼンを国内に普及させたいというようになり、その手伝いもするようになりました。

    そこで遅ればせながら気が付いたのは、カイゼンの普及促進のように、利害の衝突がほとんど生じない単純で人畜無害な政策でも、意図した通りに政策に実施するのは容易ではないという事実です。そこから私は政治学や行政学に関心を抱くようになりました。いくら優れた効果を持つはずの政策でも、実施できない政策を推奨するのでは学者は世の中の役に立ちません。どうすれば実施しやすくなるか、実際の政策効果が高まるかについても、少しは役に立つことを言えるようになりたいものです。そんな研究するのに、新興国は格好の対象だと思っています。なぜそう思うのかは、今後このホームページで少しずつ、できれば研究成果の紹介とともに明らかにしてゆくつもりです。

    この班は、現場での丁寧な調査を通じて政策含意のある実証研究を行なってきた仲間で構成されています。具体的な研究テーマはそれぞれ少しずつ違いますが、みな新興国のダイナミズムに強い関心をもち、開発経済学をベースにしつつ政治学、社会学、地域研究、歴史学等の知見や手法を取り入れて、新しい境地を開こうという意欲に燃えています。どうぞよろしくお願いします。