研究目的

    新興国の多くが、産業構造の高度化、地域間の経済格差の是正、大都市の混雑緩和などの重要な政策課題を抱えています。それらをうまく解決できるか否かは、国家の政策決定の能力のほかに、政策の実施プロセスにおける行政能力や、ガバナンス、あるいは理不尽な政治圧力を排除して政策を実施する能力にも大きく依存すると考えられます。しかし、こうした能力の実態を実証的に把握しようという研究は、少なくとも新興国の文脈ではこれまで行われてこなかったために、体系的な知識がありません。本研究班が目指しているのは、この知識の欠落を埋めるための、現場感覚にあふれた丁寧な実証研究です。

 新興国の政策課題やその実施上の問題を体系的に理解するには、かつての新興国である今の先進国との比較や、これから新興国になろうという途上国との比較が重要です。また、過去や現在の新興国の経験を体系的に理解することにより、将来の新興国になる国々の経済発展や国造りをより効果的に支援できるようにすることも、本研究の目的の一つです。そのため本研究では狭い意味での新興国にとどまらず、NEXT11と呼ばれる国々や、アジア、アフリカ、ラテンアメリカで所得水準は低いながらも急速な成長を続けている途上国も研究の対象とします。