A02 公募研究採択(2014-2015) 澤田

A02 経済発展に資する社会ネットワークの多様性を阻む要因に関する政治経済分析

研究課題名: 新興国におけるインフォーマル制度の実験・行動経済学的分析

研究者氏名・所属・職名: 澤田 康幸 東京大学・経済学研究科(研究院)・教授

研究実績の概要

本研究の目的は、途上国農村におけるインフォーマルな労働取引制度を対象に、農家の経済行動と村落コミュニティ内部の社会ネットワークとの間にある相互規定性を明らかにすることである。こうした研究は、市場メカニズムの不備を補完するインフォーマル制度の成立要因を探るという点で、開発ミクロ経済学の根幹を支える重要な課題である。

平成26年度は、以下の3つの課題に取り組んだ。

第一には、フィリピン農村における農業労働慣行に注目し、固定給の下では労働者の社会的選好の存在が機会主義的行動を抑制していることを発見した。こうした知見を取りまとめ、フィリピン農村の田植え労働契約を対象に経済的インセンティブと社会的規範および社会的選好の相互関係に関する論文を執筆した。

第二に、2013年11月にフィリピン中部を横断し、甚大な悪影響を生み出した台風Yolandaを対象として、自然災害が家計の経済・社会行動に与える影響を明らかにするための予備調査を実施した。また、東日本大震災後に大船渡に設立された、社会関係資本(ソーシャルキャピタル)蓄積のための施設である「居場所ハウス」のYolanda被災者への適用可能性について検討した。

第三には、スリランカ南部農村地域において灌漑の維持管理等に関する社会関係資本・制度についての調査および実験の可能性を探るための予備調査を実施した。

 

雑誌論文

Jun Goto, Yasuyuki Sawada, Takeshi Aida, Keitaro Aoyagi (2014) “Incentive and Social Preferences: Experimental Evidence from a Seemingly Inefficient Traditional Labor Contract” CIRJE Discussion Paper F-Series CIRJE-F-961, Faculty of Economics, University of Tokyo.

 

学会発表

“Incentive and Social Preference: Experimental Evidence from a Traditional Labor Contract,” 8th Asian Conference on Applied Micro-Economics/Econometrics, in November, 2014, Hong Kong